2015年11月9日月曜日

2015年10月25日(日)

第2回サイレント×自然deワークショップ@宍塚(ししつか)の里山※
  ~ろう者と聴者で楽しむ自然観察~

心地よい風がふく、気温も天気も丁度良い日、大学生10名含む12名、
初参加の聴者のみなさんの参加で行いました。
学生さんたちは法政大学のサークル「キャンパスエコロジーフォーラム」里山班のみなさん。
毎月1回、若い力で、宍塚の里山の保全活動をしてくれています。

進行は、自然大好きなろう者、ぴろこさんぱるこさんコンビ。

全員の自己紹介では、参加者の名前を「空書」(自分の前の空間に文字を書く)で
伝えて、その手話表現を2人から教えてもらう、という形で進みました。
すでにご自分のお名前を手話で表現できる方もいらっしゃいました。
今日覚えた方は、今後は手話で自己紹介していただけるでしょう(^-^)

自己紹介の後はゲーム。

①生き物クイズ。
ぱるこさんがジェスチャーで表し、それが何の生き物かをあてます。
ちょっと難しいのもあったかな・・・でも最後には当てられました!

②ろう者2人によるインタープリテーション
ゲンベーヤマの下、池のほとりの山道を歩きます。
道すがら、ジェスチャーでどの木をあらわしているかのクイズや、
その木が2人にはどんなふうにみえてるのか、どんなストーリーが
思い描かれるのか、かけあい漫才のようなやりとりで話してくれました。

ぱるこさんからみた自然のストーリーを熱演中。


③落ち葉当てクイズ
落ち葉を各自ひろいながら沈黙で歩きます。
広い場所で、集めた落ち葉をそれぞれひろげ、その中から選んだ1枚を
ジェスチャーで表してまわりの人が当てるゲームをしました。

画用紙にそれぞれ集めた色とりどりの落ち葉を並べて。



沈黙で歩く中、魚の跳ねる水音や鳥の声、
どんぐりを踏んづける音など、小さな音にも気づきます。

発見を共有したくて思わず声がでてしまうことも多く、やはり、自然の中で発見したり、思ったことは、他の人に伝えたくなるものなんだなぁということも改めて痛感。

声以外で相手に伝えるにはどうしたらいい?
工夫を考えるのも今後の楽しみな課題の一つです。
またぜひ企画したいと思います(^-^)

ご参加いただいたみなさん、ぴろこさんぱるこさん、
ありがとうございました!!

ゲンベーヤマのふもとで「宍塚」の手話をする参加者のみなさんと
ぴろこさん・ぱるこさん。皆さん素敵な笑顔です!

参加者の方の感想
・初めての体験で楽しかったです!ありがとうございました!
・今まで気がつかなかった木の形や見たことのない葉を発見できた。体や身振り手振りで伝えることのむずかしさや楽しさを知れた。
・木を木として見るだけではなく、その模様や形を想像して考えるという見方を学んだ。
・違う視点で里山を見ることができて、色々な植物も探せば探すほどいると感じた。あと、耳から入る音色も楽しめた。
・物を見ぶり(身振り?)手ぶりで伝えることの難しさが分かりました。口では伝えきれていないことも数多くあり、ろう者の方とは見方が違うと感じることも多く驚かされた。
・普段はぼんやりとしか見えてなかったものが、表現しようとする過程でより細やかに見ることができました。
・このような貴重な体験により視野が広くなった気がします。
・葉を体で表現する、簡単そうで難しい貴重な経験ができて楽しかったです。
・二人が話しているのをみて中に加わりたいなと思いました。そのくらい楽しそうでした。
・とてもお二人が楽しそうにワークショップをしてくださったので、私たちもリラックスして参加することができました。また、多くの気づきもありました。

※現在のWSシリーズタイトルに統一します。

2015年7月15日水曜日

150620「あなたの宇宙、わたしの宇宙」~宇宙を通して自分を学ぶ レポート

6/20、「あなたの宇宙、わたしの宇宙」~宇宙を通して自分を学ぶ
※手話通訳・要約筆記・簡易磁気ループ有

天文学習教材のシリーズ共著など、天文学教育の普及活動を一緒にされている嶺重慎さんと髙橋淳さん。
遠く京都の嶺重さんに、三菱財団社会福祉助成による出張授業の一環の形で茨城まできていただき、茨城県ご在住の髙橋さんとお2人そろってのお話を伺える貴重な機会をいただきました。
嶺重さん、高橋さんお2人そろって。隣には手話通訳。

触常者※4名含めて総勢35名の参加で行いました。

※触覚に依拠して生活している人。視覚に依拠して生活する人は「見常者」。
          広瀬浩二郎さん(国立民族学博物館)提唱の言葉。

学生時代の朗読ボランティアから現在まで、視覚障害の方がたとのお付き合いの長い嶺重さん。

見ても、触っても、聞いてもわかりやすい教材をと、バリアフリー天文学習教材『宇宙と私たち』を、ワンリソース・マルチモーダル出版・・・墨字(文字・写真の印刷)版、点字版、電子版・・でつくる活動を髙橋さんとされています。

今回、宇宙の歴史から地球や生命の歴史も含めた「ジュニア版」の教材を元に、宇宙の歴史をお話くださいました。

お話しする嶺重さん。後方に要約筆記による字幕がうつる。

地球に生命がある条件の1つは、月があるから。
それから、木星と土星があるから。
それから太陽が長生き。
太陽より重い星は寿命が短く、作り出したたくさんの元素を宇宙にまきちらす。
そのことで新しい星や私たちの身体の元になる・・

今、当たり前に存在しているものがもし当たり前でなかったとしたら・・・
いろいろな条件が重なって今の地球・生命が存在することをわかりやすくお話くださいました。

途中、点字・点図で書かれた真っ白な新刊の本が配られ、

ひらいた点字本をさわる

見常者には、「みないでさわってみること」の大切さと、
触察の方法・・・

・両手の指と手のひら全部を使って。
・全体から部分へ、部分から全体へ。繰り返し触ること。

の説明もいただき、点図をさわってみてみました。

正確なデータを元に作られた月の立体模型も用意され、
手のひらに乗るほどの大きさ。表面に凹凸のある月球儀

片側ずつ(月の表と裏)地表の様子が違うこと、そこからわかることのお話もありました。

お話の後半は髙橋さん。

引き続き、バリアフリー教材の点図のほか、太陽系誕生当時に存在していた微惑星の中心部に
あったと考えられている隕石の実物、太古の生き物の模型やぬいぐるみ、チンパンジーが作った道具の実物などを用意。

隕石他グッズを前にお話しする高橋さん。隣に手話通訳。

太古の生き物や恐竜から類人猿・ヒトまで、地球46億年の歴史をお話くださいました。

「今いる私達人類だけが特別な存在なのではなくて、
ずっと遡ると、生き物と地球が同じところから生まれたことが分かる。
そして、その地球というのは太陽と一緒に宇宙から生まれた。
50億年前うまれた太陽も、元を正すと138億年前に私たちの身体と一緒にみな、
ひとつのところから生まれた。
そう考えると、私達はずっとたどっていけば、みな兄弟。みな大切な存在。」

点図と触察教材を使っての「宇宙と地球・生命の歴史」は、
今あるものの不思議さ、大切さに改めて気づく、壮大な時間旅行となりました。

休憩時間にじっくり触察。手に持っているのはアンモナイトの復元模型
お2人の話の後は、近くの人やグループになっての対話。

「障害」のある人の発想・視点を活かし、その人らしさを発揮して
‘ともに‘楽しめる、遊びや学びの形を、参加者同士の対話を通して考えました。


お話聞いて近くの3~4人で感想を共有した後、
障がいのある人のオリジナリティを生かして、どんなことを一緒にするとおもしろそうか、
自由に考えてみようというテーマで6人程のグループに。

テーブルをかこんで6人で話し中。テーブルには書き込まれた模造紙。

途中メンバー入れ替えもしながら、各グループでそれぞれの人の
経験・知見がたくさん出され、活発な対話がみられました。

最後に、各グループでだされたものを発表しあいました。

 ・ダイアログインザダークのような体験
 ・車イスに乗ってみる体験 体験大切!
 ・あえて「バリア」を設けて‘違い‘を知り合う
 ・香りを頼りに進む迷路
 ・宇宙食を暗闇でたべてみる
 ・聞こえない人が音楽を感じる、いろんな方法を楽しむ
 ・服の素材(音の違い)を楽しむ
 ・いっしょに運動や体験をすることでコミュニケーションの必要性を体験できるといい

興味深いアイデアがたくさん出されました。

嶺重さん、高橋さんお2人による、多様な人と‘ともに‘だからこその学びと、
多様な人の参加で可能になる「障害学習」「共活」への‘種‘探しの対話は
貴重な時間となりました。ありがとうございました!

【参加された方の感想】

・天文学の初歩的な内容で、詳細がわかりやすく、点字は読めませんでしたが線で絵を表現したり、視覚障害に関わることを体験できてよかったです。 人々とのつながりが楽しいと思いました。

・宇宙のはじめから今まで私たちとずっとつながっているのだということがわかってよかった。

・前半の講師のお話も、後半の対話も、大変有意義でした。 同じ触図を使っても理解、感想がこうも違うのかと驚きました。

・自分を見直すよい機会となりました。

・人と人とのつながり、コミュニケーションについて改めて考えることが出来ました。

・視覚障害や聴覚障がいをお持ちの方のそれぞれの見方を伺う機会が得られたことが、
 今後につながる気づきとなりました。

・聴者と聴障者、視覚障害者、車イス等、互いの理解が必要と口で言うだけでなく、
 お互いの体験を話す、出すことで視野が広くなると実感しました。

・点字の本を触るのは初めてでとてもおもしろかったです。

・いろいろな人と話し合う機会が持ててすばらしかったです。
 気づきはありました。たくさんありすぎて書ききれません。

・障がいをいかしたワークショップアイデアは、誰にとっても楽しめるのでは?



2015年2月24日火曜日

20150214広瀬浩二郎さん講演会

広瀬浩二郎さん講演会
「風を観るーーユニバーサル・ミュージアムと観光・まちづくり」
  
講師の広瀬さんと参加者の皆さん
講師、スタッフ、手話通訳さんとあわせて50人の人が集まり、広瀬さんのお話と、はじめて会う方と対話を楽しむ時間となりました。
触常者の方6人、ろう者2人、磁気ループユーザー(弱視難聴)1人、車イスユーザー2人に参加いただき、多様な方たちの居る場、交流の場ともなりました。

広瀬さんならでは!のご活動、研究からのお話は本当に興味深く、「2時間は短くはないけれど、時間が足りないと感じるくらいでした」(参加者の感想から)。

参加者の感想

・いつもながら、とても楽しい講演会で、時間があっという間でした。
 広瀬さんの「語り」のスタイルが、まさに語りならではの魅力だと感じました。

・広瀬さんのお話は、個人的な背景から、社会的・歴史的・文化人類学的な背景など、いくつもの視点がもりこまれ、「おはなし」としても「まなび」としてもおもしろかったです。
「障害」は「マジョリティ」の論理であり、互いの違いを異なる文化として互いに敬意を持って向き合うことが大切だと感じました。

・皆を一つの方向に近づけるのではなく、その人ならでは(その人だからこそできる)の何かを活かし、交流していくという視点を諸々のエピソードから感じました。

・「手移りできない真剣さ」と「辞書を引かずに鍛えた類推力」が興味深かったです。

・多様な文化や価値観を共有できる機会(社会づくり)がもっとあるといいなと改めて思いました。もっと積極的にいろいろな人と価値観を語り合おうという気持ちになってきました。

・マイノリティの方たちの「特殊」能力を尊ぶ社会があったことは、日本文化にとって大変重要なことだったろうと推察される。違う文化、違う能力を大切にすることがこれからも尊重されるよう、一人一人が意識する社会であって欲しいと思った。

・はじめて参加させていただきました。大変勉強になり、ありがとうございました。
 目に見えないことがどんなものか?耳が聞こえないことがどんななのか?
 いろいろ考えさせられる会でした。
 最後の10分間のトークはとても新鮮でした。知らない方たちとのほんのひとときでしたが、
 会話ができ、大変学べました。

2~3人でグループになりおしゃべり。会場はにぎやかに。