午後からの参加者が各グループに一人ずつ合流。
あだ名+サインネームをみんなでつけてから自己紹介。
全盲の学生さんも手を動かしてサインネームを表しました。
「ゆうちゃん(講演した高村さん)」と「めがねの先生」のファシリテートでオノマトペ遊び開始。
①オノマトペの単語からすぐに思い出されるものをそれぞれ書いて示します。
「ほかほか」と聞いて思い出すものはいろいろ。
一つのオノマトペでもさまざまに使われてることを発見したところで
②グループで音が同じでも違う意味を表すオノマトペを探します。
各グループ、音声と手話で発表。
ゆうちゃんが正面のパワーポイントの画面を使って文字でも表示。
次は③、ぬいぐるみやゴムのおもちゃ等モノを観察してオノマトペ探し。
共通の「お題」と各グループ選択したモノからオノマトペをみつけて発表しました。
一つのモノからいろんなオノマトペが出てきて、中には不思議なものも(笑)
でもちゃんとその様子を表していたりして面白い。
最後に④、状態や動作からオノマトペを探します。
はじめに例題としてアシモが歩く映像を見て
「アシモが○○○○と歩く」
の○○にあてはまるオノマトペを各人で探します。
全盲の学生さんには、アシモの真似が上手な小学生が実演、
一緒に歩いてもらってどんな歩き方か、伝えました。
当てはめるオノマトペはみなさんいろいろ。
次に、「川」や「食べ方」など、状態や動作の「お題」カードをグループで選び、
そのオノマトペを探します。
最後にグループ全員で発表。
普段何気なく使っているオノマトペ。
グループのみんなでだしあって並べるうちに、同じモノにまつわるオノマトペの違いが程度や大きさで整理できることに気づいたり、いろんな発見がありました!
Aグループの皆さん
Bグループ
Cグループ
みなさん、ありがとうございました!
参加頂いた方の感想
①今日のWSはいかがでしたか?感想をお願いします。
②特に印象に残ったことがありましたらお願いします。
取手市20代女性
①「オノマトペ」って面白いの・・・?と、内容を詳しく聞かないまま参加したのですが有意義な一日だったなと感じます。
②人形劇、ジェスチャーで音を表す
つくば市30代女性
①皆さんがイメージしているオノマトペ、現在使われているオノマトペなど、オノマトペとは何か、説明と実習体験をすることで楽しく勉強できました。参加してよかったです!ありがとうございました。
②表現があるオノマトペは大変面白かった。言葉に表すのが難しいのもあれば、表現に表すのが難しいのもあるオノマトペ。
つくば市40代男性
①非常に丁寧な構成で感心しました。とてもために成り、新しい発見がありました。久しぶりに頭をフル回転させて課題を考えました。
②一つのオノマトペから発想したものを書くときは、ジェットコースターにでも乗ってる気分でした。
つくば市20代女性
①いろいろな環境の人と話せて楽しかったです。コミュニケーションのとり方がいろいろあることを知れてとても勉強になりました。
②同じものに対しても人によってオノマトペが違い、感じ方が人によって異なるということを初めて知り、印象に残りました。
取手市40代女性
①
・まずホワイトボード(卓上)がとてもよかった。皆で話が共有でき、思いついたことをすぐ書け、とても便利。(うちのグループに視覚障害者が居なかったが、もし居る場合は少し配慮が必要)
・発表の方法も、視覚的・聴覚的にわかるような工夫が自然に出来てとてもよかった。
・「オノマトペ」初めて真剣に考えてみた。聴覚障害者はそのイメージをどこから持ってくるのか?マンガ?そこまで分析してみたいと思った。
②
・ミニ講演「目で聴くオノマトペ」
・繰り返しの表現=今もその状態が続いているイメージ/1回だけ=すぐその状態が終わってしまうイメージ
今日は、年齢・障害の有無に関わらず全員が参加したワークショップでとても楽しかったです、固い頭が少しはやわらかくなった?
守谷市10代男性
①わかりやすく、面白かった。
②アニメーション
守谷市30代女性
①オノマトペについて興味があったので参加しました。
講演がとてもわかりやすかったので、息子も楽しかったそうです。
オノマトペを6つの種類に分けたり出来るのが驚きました。
伝えにくいこともオノマトペをうまく使うことで表現豊かに柔らかく伝えられるんだなと思いました。
障害も・年齢も、性別もいろいろな人が集まって1つのことをしたのが初めてだったので、とまどいもありましたが勉強になりました。
②オノマトペを手話や絵、映像に表現できること。とても新鮮に感じた。
東京都武蔵野市20代女性
①参加者のみんなで意見を出し合いながらオノマトペを考える事ができた。
自分で思いつかないものを見つけたり発見があった。
②高村さんの発表の中で「オノマトペのもと」+「り」「っ」「ん」等、何をつけるかによって
法則を分類できることになるほどと思った。
(「ぽきっ」は軽いイメージ、などの考えはあったが、何に接続しても同様のイメージになるところまで
考えた事がなかった。)
龍ヶ崎市40代女性
①さびつきかけてる脳ミソをいっぱい使わせてもらいました。私は「オノマトペ」という言葉も知らない人間で来たが、あたらためて自分の生活を見直してみたい。
②理系の大学に通っている子どもたちをつれてきてともに教えてもらいたかったな~。
つくば市20代女性
①聴覚障害者とオノマトペを通してコミュニケーションできたり、新しい発見が出来てよかった(手話は出来ないけど)
②オノマトペを表情やジェスチャーで表現していてすごいと思った。
つくば市30代女性
①意外なところにもいろいろなオノマトペがあることを知りました。これまできづかずに使っていたりすることも多いと感じました。
②人によってとらえ方がさまざまであったことを確認しました。
龍ヶ崎市50代女性
①とても興味深く参加しました。
手話サークルの方に声をかけてもらいましたが、いろいろなことに共通するのかな、とも感じました。
②私の席は、さまざまな障害を持った方と一緒でした。自分の有り方、支え方、支えてもらい方など、考えさせられました。いい勉強になりました。
2010年12月21日火曜日
インクルーシブデザインWS「オノマトペで遊ぼう!」(1)
12/5(日)、
いっしょに楽習会~インクルーシブデザインの実践
第4回
インクルーシブデザインワークショップ「オノマトペで遊ぼう!」
18名の方の参加で行いました。
はじめに、丁度1年前のインクルーシブデザインワークショップで
教えてもらった、インクルーシブデザインワークショップをするときに
大切にしたいこと
「先入観で線を引くのはやめましょう」
「どこが伝わってどこが伝わらないのかを自分たちで体験して見つけましょう」
と
大事にすること
「全員参加、誰もおいていかない」
「わからないことはわからないといっていい(質問はいつでもOK)」
を共有し、グループごとでアイスブレイク「あだ名をつけよう」。
グループにはろう者・聴覚障害の方もいるので、グループ内での
コミュニケーション方法も全員で確認しました。
ホワイトボードをシートにしたような、大きな紙を筆談用紙として
テーブルに用意。それを使うグループもありました。
それぞれの名前や好きなことを出しあい、他の人がその日呼ぶあだ名
・・・墨字・音声と、ろう者が使う「サインネーム」=手の形・動きでその人を表したもの
をお互いつけ、全員であだ名を発表しあいました。
続けて
ろう児とオノマトペについて研究された
高村友里恵さん(筑波大学人間学群障害科学類)
『オノマトペ~生き生きとした表現~』
一口にオノマトペといってもいろんなものや形に分類があること、
身近な例として商品名につかわれているオノマトペについてや
オノマトペの方言や外国にもあること、そして歴史・・・
『竹取物語』のころから「グウグウ」「メラメラ」などが今と同じ意味で
すでに使われていたこと、逆に、今では使わない表現もあるなどの
お話は大変興味深かったです。
続いて
諏訪恭子さんの(筑波技術大学総合デザイン学科平成22年度
卒業生)卒業制作『目で聴くオノマトペアニメーション』について。
子どもの頃からオノマトペに強い関心を持っていたという諏訪さん。
実際の映像作品を見ながら、動機や製作の過程をお話くださいました。
お昼休みには、耳の不自由な人もそうでない人も一緒に楽しめる
人形劇として取り組んでいるグループのみなさんによる
人形劇がありました。
頂いた紹介文をそのまま掲載します。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
人形劇について
劇団名:まだない(2009年発足)
メンバー:筑波技術大学 総合デザイン学科 生田目美紀
多摩美術大学 情報デザイン学科 楠房子
協力:多摩美術大学学生さん有志
演目:注文の多い料理店(宮沢賢治)
経緯?:私たちは、デザインを活用した楽しい教育について実践的な取り組みをしています。
人形劇は娯楽や教育として子供から大人まで楽しめるもののはずですが、
ナレーションと人形で物語が進行するため、音声や口形から情報がとれず、
耳の不自由な人にとっては内容がわかりにくいものです。
そこで、耳の不自由な人もそうでない人も一緒に楽しめる人形劇を演じてみたいと思いました。
コンセプトは、「小学校でできる(ちょっと教育的な)ユニバーサル人形劇」です。
まだまだ未熟ですが、楽しんでいただければ幸いです。
*ご希望がございましたら、いつでも実演に伺います。miki@a.tsukuba-tech.ac.jp
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
いっしょに楽習会~インクルーシブデザインの実践
第4回
インクルーシブデザインワークショップ「オノマトペで遊ぼう!」
18名の方の参加で行いました。
はじめに、丁度1年前のインクルーシブデザインワークショップで
教えてもらった、インクルーシブデザインワークショップをするときに
大切にしたいこと
「先入観で線を引くのはやめましょう」
「どこが伝わってどこが伝わらないのかを自分たちで体験して見つけましょう」
と
大事にすること
「全員参加、誰もおいていかない」
「わからないことはわからないといっていい(質問はいつでもOK)」
を共有し、グループごとでアイスブレイク「あだ名をつけよう」。
グループにはろう者・聴覚障害の方もいるので、グループ内での
コミュニケーション方法も全員で確認しました。
ホワイトボードをシートにしたような、大きな紙を筆談用紙として
テーブルに用意。それを使うグループもありました。
それぞれの名前や好きなことを出しあい、他の人がその日呼ぶあだ名
・・・墨字・音声と、ろう者が使う「サインネーム」=手の形・動きでその人を表したもの
をお互いつけ、全員であだ名を発表しあいました。
続けて
ろう児とオノマトペについて研究された
高村友里恵さん(筑波大学人間学群障害科学類)
『オノマトペ~生き生きとした表現~』
一口にオノマトペといってもいろんなものや形に分類があること、
身近な例として商品名につかわれているオノマトペについてや
オノマトペの方言や外国にもあること、そして歴史・・・
『竹取物語』のころから「グウグウ」「メラメラ」などが今と同じ意味で
すでに使われていたこと、逆に、今では使わない表現もあるなどの
お話は大変興味深かったです。
続いて
諏訪恭子さんの(筑波技術大学総合デザイン学科平成22年度
卒業生)卒業制作『目で聴くオノマトペアニメーション』について。
子どもの頃からオノマトペに強い関心を持っていたという諏訪さん。
実際の映像作品を見ながら、動機や製作の過程をお話くださいました。
お昼休みには、耳の不自由な人もそうでない人も一緒に楽しめる
人形劇として取り組んでいるグループのみなさんによる
人形劇がありました。
頂いた紹介文をそのまま掲載します。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
人形劇について
劇団名:まだない(2009年発足)
メンバー:筑波技術大学 総合デザイン学科 生田目美紀
多摩美術大学 情報デザイン学科 楠房子
協力:多摩美術大学学生さん有志
演目:注文の多い料理店(宮沢賢治)
経緯?:私たちは、デザインを活用した楽しい教育について実践的な取り組みをしています。
人形劇は娯楽や教育として子供から大人まで楽しめるもののはずですが、
ナレーションと人形で物語が進行するため、音声や口形から情報がとれず、
耳の不自由な人にとっては内容がわかりにくいものです。
そこで、耳の不自由な人もそうでない人も一緒に楽しめる人形劇を演じてみたいと思いました。
コンセプトは、「小学校でできる(ちょっと教育的な)ユニバーサル人形劇」です。
まだまだ未熟ですが、楽しんでいただければ幸いです。
*ご希望がございましたら、いつでも実演に伺います。miki@a.tsukuba-tech.ac.jp
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
2010年12月6日月曜日
11/27(土)広瀬浩二郎さんの講演会
11/27(土)、国立民族学博物館の広瀬浩二郎さんに
万人のための“点字力”入門~「さわってみる」フィーリングワークの魅力~
と題してお話いただきました。
はじめに、
広瀬さんたちが2001年からされている「視覚障害者文化を育てる会(4しょく会)」の活動について。
4つの「しょく」・・・
食=誰にとっても共通して楽しい食。同じ「人」として一緒にできる・楽しむ所を共有する。
色=視覚障害者にとって縁遠いと思われ遠慮されがちな色の話題。でも色についての情報も大切で『見常者』の目を通したり支援機器を使うことで共有できる。少しの工夫で一緒にできる。
触=目を使わない『触常者』の得意分野。さわって楽しむワークショップや自然観察会などで『触常者』のオリジナリティを発揮。
職=自立した生活には「職」のことが大事。就労の問題を考える。
を軸に年数回、活動しているそうです。
この「4しょく会」のように「文化」として提示できるようになったのは
「生存権」が満たされた21世紀になってから。
その説明として、視覚障害者の大学進学の歴史を、
切り開いてきた先輩たちに敬意を表しながらお話くださいました。
戦前 盲・ろう学校卒業では高卒の資格がとれないので大学進学は無理。
戦後 盲・ろう学校の義務化で高卒資格=受験する資格取得が可能。
でも、入試や入学してからの対応ができないとして「門前払い」多発。
1950・60年代
門戸開放、機会は与えて欲しいとの働きかけ
70~80年 少しずつ大学進学者が増える。
でも、授業での必要な配慮はなく、学生同士の助け合い
80年~ 門戸も広がり、点字受験もふえる。
PCの登場(音声読上げ機能など日進月歩)、
ボランティアによる支援体制等、学習・生活環境が整う。
視覚障害者を取り巻く環境で少しの改善しかみられないのは就職、
とのことでした。
後半の話題は、さわってみる「さわる文化」について。
一番訴えたいのは、視覚障害者に対するイメージを少しでもかえること。
昔の小学校国語教科書にある、江戸時代の塙保己一(はなわ ほきいち)の話題。
その頃の視覚障害者の職業とされた按摩・鍼・音曲はものにできず、やむなく自分の得意の学問好き、聞いて覚える記憶力を生かして大学者になったこと。
夜の講義中にろうそくの火が消え、「文字が読めない」と困る生徒と対照的に問題なく講義を続け「目あきとは不便なものだ」と語ったという話。
自分にないものでなく持っているものを生かすことで別の事が「できる」、
また、
夜の講義のエピソードでは、場面や環境によっては便利と不便が逆転するなど、
物事をいろんな角度からみる大切さが伝わる教材だったそうです。
ウィキペディア
塙保己一(はなわ ほきいち)
視覚が使えない不自由な人、
ではなく、
視覚を使わない、目のかわりに別の方法を使う人
そんなイメージを広げるよう、「さわる文化」を切り口に
展覧会やワークショップを企画・実施されているそうです。
今年度中には保育園のこどもたち向けのワークショップがあり、
どのようにするか、どんな反応か?楽しみに計画しているところ、
とのお話でした。
特定の人に限られてしまう「視覚障害者文化」ではなく
誰にでも開かれて共有できる「さわる文化」を示すことで
さわって「学ぶ」「楽しむ」「驚く」を共有できる・・・
さわってはいけないとされる美術作品の中でも、彫刻は
さわってこそ「作者」と「作品」と「さわって鑑賞する人」の
3つのエネルギーが合わさって伝わるものがあるのだそうです。
『触常者』と「さわってみるフィーリングワーク」を
共有することで、『見常者』が自分の感覚を再発見したり、
視覚障害者に対する見方が変わる=新しい発見をする。
感覚の使い方が違う異文化と交流するところに面白さがある、
とのお話でした。
広瀬さんのライフワーク「ユニバーサルミュージアム」についての
企画展を数年後に計画されているとのことでした。
最後に、『障害者』のがいをひらがなにした『障がい者』という標記について。
表面的に「害」を「がい」に言い換えるのでなく、「障害者」という言葉・・・一方的にマイノリティに貼り付けたレッテル・・・自体を問い直し、「多彩な人間観が許容される成熟した社会」※1、ユニバーサル社会にむかうことでなくしていく・なくなっていくのが理想、とのお話でした。
※1広瀬さんの『万人のための点字力入門~さわる文字からさわる文化へ』から
講演会終了後、交流会を行いました。
多くの方に参加頂き、感想と、それぞれの方の経験からのお話、
講演会最後の話題である『障害者』標記についてのご意見や、
さわってみること=触察の有用性の話題など話しました。
人のあり様(よう)の、多様性の豊かさを教えてくれる広瀬さん。
これからのご活躍がますます楽しみです!!
ありがとうございました。
参加者のアンケート
①講演会はいかがでしたか?感想をお願いします。
②特に印象に残った事があれば教えてください。
千葉県市川市 50代女性
①大学の変遷がとてもよくわかり興味深かったです。1960年産まれの私にとって文化が元気だったのは80年代です。海外からいろいろなアーティストがきたり、展覧会が開かれたり・・・(バブルという面があったと思いますが)しかしその当時は絵や音楽=文化であって、障がいを文化として見るというような発想は皆無だったと思います。21世紀になって障がいという文化が育ってきたというお話は新鮮で、なるほどそうだったのかと思いました。ろう者が独自のろう文化を打ち立てたのに対し視覚障害の方が一般社会にどうかしようとしたのは、どんな違いによるものなのか調べてみようと思います。
②(1)視覚を使えない→使わない文化、の説明が興味深かったです。
(2)彫刻を触る 作者・作品・観覧者 三者のエネルギー
(3)さわって学び、楽しみ、驚く。触る文化はみんなに平等。for万人。
(4)「触常者」と「見常者」
つくば市40代女性
①大変興味深かったです。
②保育園ワークショップ、とても興味深いです。是非次回お聞きしたいです。
つくば市50代女性
①広瀬さんの今までの体験を通したお話、とても興味深く拝聴しました。
うんうん、とうなずくことも多くありました。「障害者」という文字についての考え方も、表面的な漢字のみにとらわれている社会常識について考えてしまいます。多くの人が自然に、ともに生きて生活していければと思っています。
万人のための“点字力”入門~「さわってみる」フィーリングワークの魅力~
と題してお話いただきました。
はじめに、
広瀬さんたちが2001年からされている「視覚障害者文化を育てる会(4しょく会)」の活動について。
4つの「しょく」・・・
食=誰にとっても共通して楽しい食。同じ「人」として一緒にできる・楽しむ所を共有する。
色=視覚障害者にとって縁遠いと思われ遠慮されがちな色の話題。でも色についての情報も大切で『見常者』の目を通したり支援機器を使うことで共有できる。少しの工夫で一緒にできる。
触=目を使わない『触常者』の得意分野。さわって楽しむワークショップや自然観察会などで『触常者』のオリジナリティを発揮。
職=自立した生活には「職」のことが大事。就労の問題を考える。
を軸に年数回、活動しているそうです。
この「4しょく会」のように「文化」として提示できるようになったのは
「生存権」が満たされた21世紀になってから。
その説明として、視覚障害者の大学進学の歴史を、
切り開いてきた先輩たちに敬意を表しながらお話くださいました。
戦前 盲・ろう学校卒業では高卒の資格がとれないので大学進学は無理。
戦後 盲・ろう学校の義務化で高卒資格=受験する資格取得が可能。
でも、入試や入学してからの対応ができないとして「門前払い」多発。
1950・60年代
門戸開放、機会は与えて欲しいとの働きかけ
70~80年 少しずつ大学進学者が増える。
でも、授業での必要な配慮はなく、学生同士の助け合い
80年~ 門戸も広がり、点字受験もふえる。
PCの登場(音声読上げ機能など日進月歩)、
ボランティアによる支援体制等、学習・生活環境が整う。
視覚障害者を取り巻く環境で少しの改善しかみられないのは就職、
とのことでした。
後半の話題は、さわってみる「さわる文化」について。
一番訴えたいのは、視覚障害者に対するイメージを少しでもかえること。
昔の小学校国語教科書にある、江戸時代の塙保己一(はなわ ほきいち)の話題。
その頃の視覚障害者の職業とされた按摩・鍼・音曲はものにできず、やむなく自分の得意の学問好き、聞いて覚える記憶力を生かして大学者になったこと。
夜の講義中にろうそくの火が消え、「文字が読めない」と困る生徒と対照的に問題なく講義を続け「目あきとは不便なものだ」と語ったという話。
自分にないものでなく持っているものを生かすことで別の事が「できる」、
また、
夜の講義のエピソードでは、場面や環境によっては便利と不便が逆転するなど、
物事をいろんな角度からみる大切さが伝わる教材だったそうです。
ウィキペディア
塙保己一(はなわ ほきいち)
視覚が使えない不自由な人、
ではなく、
視覚を使わない、目のかわりに別の方法を使う人
そんなイメージを広げるよう、「さわる文化」を切り口に
展覧会やワークショップを企画・実施されているそうです。
今年度中には保育園のこどもたち向けのワークショップがあり、
どのようにするか、どんな反応か?楽しみに計画しているところ、
とのお話でした。
特定の人に限られてしまう「視覚障害者文化」ではなく
誰にでも開かれて共有できる「さわる文化」を示すことで
さわって「学ぶ」「楽しむ」「驚く」を共有できる・・・
さわってはいけないとされる美術作品の中でも、彫刻は
さわってこそ「作者」と「作品」と「さわって鑑賞する人」の
3つのエネルギーが合わさって伝わるものがあるのだそうです。
『触常者』と「さわってみるフィーリングワーク」を
共有することで、『見常者』が自分の感覚を再発見したり、
視覚障害者に対する見方が変わる=新しい発見をする。
感覚の使い方が違う異文化と交流するところに面白さがある、
とのお話でした。
広瀬さんのライフワーク「ユニバーサルミュージアム」についての
企画展を数年後に計画されているとのことでした。
最後に、『障害者』のがいをひらがなにした『障がい者』という標記について。
表面的に「害」を「がい」に言い換えるのでなく、「障害者」という言葉・・・一方的にマイノリティに貼り付けたレッテル・・・自体を問い直し、「多彩な人間観が許容される成熟した社会」※1、ユニバーサル社会にむかうことでなくしていく・なくなっていくのが理想、とのお話でした。
※1広瀬さんの『万人のための点字力入門~さわる文字からさわる文化へ』から
講演会終了後、交流会を行いました。
多くの方に参加頂き、感想と、それぞれの方の経験からのお話、
講演会最後の話題である『障害者』標記についてのご意見や、
さわってみること=触察の有用性の話題など話しました。
人のあり様(よう)の、多様性の豊かさを教えてくれる広瀬さん。
これからのご活躍がますます楽しみです!!
ありがとうございました。
参加者のアンケート
①講演会はいかがでしたか?感想をお願いします。
②特に印象に残った事があれば教えてください。
千葉県市川市 50代女性
①大学の変遷がとてもよくわかり興味深かったです。1960年産まれの私にとって文化が元気だったのは80年代です。海外からいろいろなアーティストがきたり、展覧会が開かれたり・・・(バブルという面があったと思いますが)しかしその当時は絵や音楽=文化であって、障がいを文化として見るというような発想は皆無だったと思います。21世紀になって障がいという文化が育ってきたというお話は新鮮で、なるほどそうだったのかと思いました。ろう者が独自のろう文化を打ち立てたのに対し視覚障害の方が一般社会にどうかしようとしたのは、どんな違いによるものなのか調べてみようと思います。
②(1)視覚を使えない→使わない文化、の説明が興味深かったです。
(2)彫刻を触る 作者・作品・観覧者 三者のエネルギー
(3)さわって学び、楽しみ、驚く。触る文化はみんなに平等。for万人。
(4)「触常者」と「見常者」
つくば市40代女性
①大変興味深かったです。
②保育園ワークショップ、とても興味深いです。是非次回お聞きしたいです。
つくば市50代女性
①広瀬さんの今までの体験を通したお話、とても興味深く拝聴しました。
うんうん、とうなずくことも多くありました。「障害者」という文字についての考え方も、表面的な漢字のみにとらわれている社会常識について考えてしまいます。多くの人が自然に、ともに生きて生活していければと思っています。
登録:
投稿 (Atom)