2009年10月26日月曜日

10/24広瀬浩二郎さんのワークショップ報告

10/24(土)、広瀬浩二郎さん

参考webサイト:
国立民族学博物館 研究スタッフ紹介 広瀬浩二郎
http://www.minpaku.ac.jp/staff/hirose/

のワークショップ
「さわる文化への招待」~暗闇でさまざまなモノを“みる”手学問のすゝめ~
を行いました。

目を「使えない」ではなく「使わない」を体験するための
アイマスク体験であること、はじめにお話がありました。

アイマスクをした参加者。隣同士で握手で挨拶
テーブルを囲んで、参加者の方たち、はじめ緊張気味でしたが
ワークショップがはじまり、アイマスクをして隣の人と挨拶
・・・声を掛け合ってようやく握手が出来ると自然と笑顔になり、
会場は笑い声でいっぱいになりました。

「考える、交わる、耕す」=「3こう」
   『さわる文化への招待――触覚でみる手学問のすすめ』(世界思想社)
   http://www.sekaishisosha.co.jp/cgi-bin/search.cgi?mode=display&code=1411
   に説明ありますのでご覧下さい

の3部構成でワークショップは進みました。

手にしたものを触察し、ことばで説明している参加者
参加者の感想

①ワークショップはいかがでしたか?
②得に印象に残ったことがあれば教えてください。

①面白かったです。ヘレンケラーのお話もよかったです。
触覚をもっとフルに磨きたいと思いました(^-^)ありがとうございます。
②みえない、でなく、みない、他の感覚を磨くためにみない・・・いろいろな、自分の欠点や他人のマイナスも、これからはそのように見ていけたら世の中がさらに楽しくなりそうですね、ありがとうございます。
(40代女性 つくば市)

①とても楽しかったです。アイマスクをして実際に目を使わず体験してみると、普段いかに視覚に頼っているか、よく感じられました。
②国旗のカードが楽しかったです。時間があればもっといろいろな国のものを見てさわってみたかったです。
(30代女性 牛久市)

①日ごろ使っていない感覚を刺激するのは楽しいことでした。時々そういう体験をすると感覚が鈍らなくて良いかと思います。
②国旗を手で触ることがほとんどないので新鮮な体験でした。
(30代女性 つくば市)

①アイマスクをしたっとたんに何か話をしていないと不安になる気がしました。日ごろ見ていることだけでコミュニケーションをしている、つもりになっている、のだと感じました。「見ない」ことが「面白い」ことだと知りました。
②点字を読んで「触覚を耕す」という経験。駅などの点字が「よく触るだけでわかるものだ」と思っていたが、訓練がやはり必要なのだと知りました。いつも使わない脳みその部分、いつも使わない腕の筋肉を使ったように思います。
(40代男性 埼玉県富士見市)


①目で見るものと手で触れて感じるものの違いがすごく大きいと思った。
視覚を封じてしまうと他のところ(感覚)が研ぎ澄まされると思った。
②ハタを触ったり、点字に触れたこと。さわってみるのとアイマスクをとってみたのでは大きな違いだった。点字は大きく打ってあるのにアイマスクをしているときは小さく感じた。
(30代女性 我孫子市)

①普段使わない触角を活用していろいろ考えるということは、日常生活では機会がないので新鮮な経験でした。逆に言えば、いかに視覚に頼っているかとのことで、他の五感を生かしてみたいと思います。触覚・聴覚をもっと使えるようになりたいです。どうもありがとうございました。
②民族楽器やおもちゃを想像したのが面白かったです。ネタが世界各国のものだったのがよかったです。
(40代女性 つくば市)

①非常に面白かった。日々の感覚ではない感じを覚えて、ためになった。
②点字の体験。1時間アイマスク。
(30代男性 東京都北区)

2009年10月7日水曜日

10/3タッチ&ヒアリングワールドワークショップ報告

10/3 タッチ&ヒアリングワールドを行いました。

1グループ目は小学4年生と6年生と目の不自由な方も一緒の6名、
2グループ目は小学6年生、大学生から大人の方まで6名。

ナビゲーターの佐々木先生と、もう一人。
筑波技術大学鍼灸の高橋ともやさんが、ギターと
点字タイプライターを携えて参加。

  「このワークショップで『障害を理解する』というより
   その先の理解を、実感を伴って、してほしい」

とのお話からワークショップ開始です。

会場の様子

アイマスクをして1分沈黙。
外の雨の音、室内の音・・・さっきまで感じていたのとは
違うということを実感します。


先ほど高橋さんが打った点字が渡されました。

アイマスクをしてテーブルをかこむ参加者
  「ひとつの点、それが あ です。
  6つの点がわかりますか?それが め です」

ふたつの違いが大きいため、点字にはじめて触った人も
違いを感じることができました。

  「もし今、墨字(紙に書いた文字)の資料を渡されたらどうですか?」

・・・当然、読めません。
点字なら、目を使わなくても読めます。

墨字も点字も、文字を読むという目的は同じ。
その人にあった、ふさわしい方法を選んでいるだけ。

その人にあった用意がなされていない、ということが
その人の「障害」になっている、ということがわかりました。


呼び鈴のほうへアイマスクをして歩く
声による呼びかけ、呼び鈴の音の方向へ歩いてみます。
みなさん無事音源のところへ行く事ができました。

マイクロ波治療器のところで止まる参加者の女性
机をたどって歩き、あたたかさを感じたら止まります。
マイクロ波治療器のところにくるとみなさん止まりました。

目で見るかわりに、音やあたたかさ、机をたどるという目印
(ランドマーク)で移動できることがわかります。

白杖で歩く参加者の女性
白杖(はくじょう)で床のテープに触れながら歩くとより安心して
進むことができました。白杖は、人差し指の延長線で、まわりの環境を
「さわって見ている」ものなのだそうです。

香りのする植物が配られ、香りを味わい、それが何なのか、
みんなで考えたりもしました。


  「目を閉じてアイマスクをとって、ゆっくり目を開けて・・・」

  「・・・まぶしい!」

これが『目が不自由』という一つの現象「しゅう明」。
日常的にこのように感じる人は、いつもサングラスをかけているそうです。

白濁ファイルを通して色紙を見る参加者

アイマスクのない状態で、佐々木先生作成のシュミレーターで
盲点が誰にでもあること、盲点は黒い点があるわけではないこと、
確認しました。

ある色紙を注視した後、白い紙に色がみえてしまうのを体験。
実際には、ないはずの色が見える!?
視覚は脳が作り出す相対的なものであることを実感しました。


  「紫外線は、昆虫は見る事ができるけれど、ヒトには、
   目の見える人も、見えない人も、見ることができない。
   みえないけれども存在は、していて、
   それを温度として・・・視覚では、なく、別の方法で
   感じ取ることは、できる。
   見えているものがすべて、では、ない。」
 
ヒトの体を診る『鍼灸』の昔からの用語「本」と「標」を引用し、
 
 「目に見えているものだけがすべてと思い判断していると、
 その人そのもの、本質をみていないことがある。
  目に見えているものがすべてではないということの自覚が大切」

とお話くださいました。

     自分ってどんななのか?人間って何なのか?
   
       自分理解、人間理解。
 
    「障害理解」を越えて導かれたのはそんな所でした。

 終了後、感想のかわりに詩を作る課題がだされました。
 ギターの名手、高橋さんが即興で歌をつけてくれるのです!
 けれどなかなか難しい(>_<)
 
ギターを弾く高橋さん

小4生が書いてくれた「ぜんぶ楽しかった」の一文に
曲をつけてくれたのを披露すると・・・
すごい、ちゃんとした素敵な歌になってる!
 
2回目のグループの「やっぱりワークショップは、大切」の
一文にも曲をつけてくれました。
そのままCM曲として使えそうです!

1グループ目終了後。 

点字絵本を高橋さんに読んでもらう女の子
参加してくれた小4のYちゃん。
点字絵本を高橋さんに読んでもらいました。
「何で読めるの・・・?」
興味津々で覗き込んでいました。

UDオセロで対戦!
そのまま二人でUDオセロで対戦が始まりました。
高橋さんは手で配置を確認しながら
ゲームを進めていました。

感想

土浦市 小学6年生 男子

アイマスクをつけてみると、雨の音がよく聞こえた。
人が近くにきたり、遠ざかったりするのも音で分かった。
違う感覚がぐんと成長した気がした。


つくば市 20代 女性
「視覚障害者」や「聴覚障害者」というけれども、いわゆる『健常者』との
違いは、普段どの感覚を主に使っているかという違いなんだ、という
考え方は、大変分かりやすかったです。
とても勉強になりました。ありがとうございました。


つくば市 30代 男性
みえることで みえないものがある
みえないことで みえるものがある
きこえることで きこえないものがある
きこえないことで きこえるものがある

気づくことで 見えてくる
感じることで 聴こえてくる
変わる事で 開けてくる世界