2009年12月25日金曜日

12/5インクルーシブデザインワークショップとは?(2)

午前のお話の実践編として
午後は「バンソウコウ」ワークショップ。

各班1名のリードユーザー(目の不自由な方)に6人ずつ3グループで開始。

はじめにグループ内仲良くなるための「しりとり自己紹介」。
最後に各班3分で作品をプレゼンするのを踏まえながら、
試作品作成、プレゼンの仕方までをみんなで考えていきました。

プレゼンで発表する内容

1.アイデア商品名
2.きっかけとなった気づき
3.巻き込めるユーザー
4.試作品(具体的につくる)

はじめにまず
リードユーザーのこれまでのバンソウコウに関する経験を聞いたり、
実際にバンソウコウを使っている様子をじっくり観察。
使い方をじっくり観察
気づいたことを全部、小さな気づきをすべて付箋に書き留め、
次に共通の気づきを分類、出てきた課題と、対応策を考えていきます。

リードユーザーの「傷口の位置がよくわからない」という経験から、
「それって晴眼者が見えにくいところの傷に貼るときも同じだよね」と
実は目の不自由な方だけでなく自分たちも同じ不便があることに気づきます。

箱の開け閉め、ゴミの問題、貼り具合の問題・・・
それが「当たり前」で、これまでなんとなく使っていたバンソウコウ
ですがこうなっていたらもっといいよね、とか、
こんなのはどう?など次々、グループで活発に意見が出ました。
グループの様子。付箋を分類しながら気づきを共有します
それを元に手を動かして「模型」を創っていきます。
みなさん真剣にバンソウコウに向き合いつつ、会場は笑い声で
いっぱい。
下を向いて真剣に手にバンソウコウを貼ってみている二人
そして各班のプレゼン。
アイデアがたくさん出て5つも試作品を作った班
空き缶を使った「エアがでて傷の位置が分かる商品」商品名『背中怪我した人』をプレゼン中
うたい文句もつくり、視覚的にも工夫したプレゼン
セロテープ状になったバンソウコウ、商品名『フリーペッタンコ』。画用紙にうたい文句を書いたものを示しつつ、実演しながらプレゼン中。
テレビショッピングを真似た掛け合いのプレゼンをする
グループ。。
商品名『ペタリン膏』を3人でプレゼン中
みんなの気づきから、いろいろ考えて試作品やプレゼンを
工夫して作ることがこんなに楽しくて、また、みんなで知恵を
出し合えばできるものなんだ、
ということ、みんなで実感しました。

ws終了後、ふりかえりとして、「では結局IDWSとは何?」
として、
今日一日で感じたこと、思ったことを付箋に書いてグループで
話しあいました。

・工夫を考える、ともにつくる楽しさ
・新しい視点との出会い
・アイデア・知恵の出し合い、伝える
・カテゴリーでなく原点がある
・考え方は「雪だるま式」
・出来上がったものに無理がない
・デザインによって線引きされない
・さまざまな目線からの意見を共有、その視点からも
 見られるようになる
・多様な状況の人の意見を聞き、共有できる
・年・性別・仕事の違いを超えて、一人では思いも着かない
 ことを思いつける
・思い込みに対する気づき
・三本の矢なら折れない
・不便な人と自分を分けないで巻き込む
・多様な人と居ることで知る自分の不便
 (実はみんなが障害者)
・自分を含めたみんなのためのデザイン
・誰も排除しないものづくり
・分ける・排除でなく、巻き込む、が大事な場所
・平等参加
・一人から出発して共有していくWS
・井戸端デザイン工房
・地引網的、ごった煮的おいしいものが出来る
 =全ての人を幸せにするデザイン

インクルーシブデザインとは、を一言で表すのは難しい(>_<)
でも体験した皆さんの「つぶやき」たちが
よく表していると思います。

有意義な、楽しい学びの時間を共有できた一日でした。

頂いた感想
①講演会・ワークショップはいかがでしたか?
②特に印象に残ったことを教えてください。

①シマウマのワークショップ、面白くて参考になりました。
 自分がいかに感覚でとらえているかを思い知らされました。
②障害や高齢の境目をデザインに求めるという概念が
 新鮮でした。
 見方次第でこんなに変わるなんて!
(20代男性 つくば市 午前のみ)

①大変良い経験をしました。
 塩瀬さんのWSは2回目ですが、2回目では聴けなかった
 レクチャーやその後の取り組みについて、効用の広さを
 学ぶ事ができた。
②動物園のコンペの内容
(50代男性 神奈川県横浜市)

①先入観ではなく、周りを巻き込んで幸せ(みんなが)に
 なれるようなデザインを共に作っていく事が
 大切だなぁと思った。
 全てのことは共同作業から行われており、それが成立しない
 事が現時点では多いように思うのでそれは残念に思う。
 WSでは、まったく知らない人同士でしたが視点の違いで
 考え方が違うところが新鮮だった。
②シマウマの絵
 いかにうまく伝えられなかったのかがわかったし
 よくみていなかったかも。
(30代女性 千葉県我孫子市)

①参加してよかった、出られる限りはまた来たい。
 来るたびに学ぶことがある。
②ワークショップ。
 当事者の意見を聞いてモノを作ることの重要性を強く感じた。
 先生のお話も勉強になった。
(70代男性 土浦市 リードユーザーを担当)

①たいへん楽しく、新しい気づきが多かったです。
 ものづくりを通してのインクルーシブデザインの理解手法は
 目からうろこでした。
②公共施設のバリアフリーについて。
 動物園のコンペ作品もすばらしかったです。
(30代女性 つくば市)

①面白かった!午前も、午後も、とても面白かったです。
 同僚にも教えたいです。
②「他人事だから」という言葉が印象に残りました。
 障害の有無関係なく同じ目線で取り組むのははじめてだった
 のでとてもよい体験でした。
 こちらが助けられたような気もします・・・
(30代女性 東京都中央区)

①コミュニケーションは共同作業である、が印象的でした。
②いろいろな人たちと接するなかで「気づき」が大切と
 感じました。
(40代女性 つくば市)

①『他人のため』に、うそくささを感じていたので、
 自分と相手が同じところで過ごせるための考え方がいいなと
 思いました。
②自分がするかどうか、自分の家においてもいいかどうか、
 の視点を持つこと。
(20代女性 つくば市(午前のみ))

最後に塩瀬さんと各班のみんなで記念写真を撮りました(^-^)

『闇夜のバンソウコウ』『片手でエイド』『パットサワラーズ』
『背中怪我した人』『パットばん』を考案したA班のみなさん
A班の集合写真
『フリーペッタンコ』を考えたB班のみなさん
B班の集合写真
『ペタリン膏』を考えたC班のみなさん
C班の集合写真
みなさんありがとうございました!!

12/5インクルーシブデザインワークショップとは?(1)

12/5(土)の講座
つくば市民大学 講座案内
は、20名の方の参加で行いました。

講師の京都大学インクルーシブデザインユニットの塩瀬隆之さん

は超お忙しい中、朝一の新幹線で京都から会場入り。
本当にありがとうございました。

会場を回って話をする塩瀬さん
午前講演
はじめに、
『動物園』が今年のテーマの、
京都市みやこユニバーサルデザインコンペ
http://www.city.kyoto.lg.jp/hokenfukushi/page/0000051996.html
で京都大学インクルーシブデザインユニットが見事大賞を受賞した『みんなをまきこむ動物園』のプレゼンをたどりながらインクルーシブデザインとは何か?のお話がありました。

エクスクルーシブ(排除・出て行ってください)
の反対語が
インクルーシブ(包摂・巻き込む、入ってきてください)。

グループで障害のある方と動物園を回って気づきを共有し、そこから、こうなっていたら楽しいよね、もしもうちょっとこうなってたら車イスからも、こどもの目線からも動物がよく見えるよね、こんな工夫があると面白いよね、いろんな人に楽しんでもらえるよね~という動物園を考えたそうです。

人と動物の目線の違いへの気づきから、京都の夏の風物詩「床」を借りて、キリンの目線の床を作りお酒を楽しむ、なんてアイデアもでたそうです。

フツウだとモノも施設もデザイナーが考えるけれど、インクルーシブデザインでは、いろんな人とみんなでまわって楽しかったこと、こうなってたら楽しいを出し合うことで、これまでと根底から違う提案ができていると思う、とのお話でした。

もう一つ。
うまれつきの全盲の方と動物園を回ったグループがシマウマの前に来たときのこと・・・

グループの人「シマウマがいます」
全盲の人「シマウマの縞ってどんな縞?」
グループの人「えええっ!?え~と、え~っと・・・」

僕が知っているから説明してあげるよ。
と思ってブラインドの方と歩き始めるが実は全然きちんと見ていなかったことに気づく・・。

            ・・・・・

これと似た状況・・・
グループで、後ろをむいている人に、シマウマの写真をみながらどんな縞かをみんなで説明し、その人にシマウマの絵を書いてもらう、というワークショップをしました。

どのグループも楽しそうにわいわい。
でも出来上がった絵はシマウマとは程遠い新種の生命体・・・!?

シマウマの映像に背を向けた人が、他の人からの説明を聞きながらシマウマの絵を描いている

こんなにシマウマの体をじっくりと見る機会もありません。
シマウマの顔部分の複雑な模様、お腹部分には縞がないこと・・・新しい発見がたくさん、シマウマの見方がこれまでと変わります。
見えない人に説明して「あげる」というのがいかにおこがましい考えだったか。
いかにシマウマをきちんと見ていなかったか。
口頭で説明する難しさ。
説明するために「触るくらいゆっくり細かく見る」ことでシマウマについて新しい発見がある・・・。

見えない人と一緒に居ることで気づかされることがあり、新しい感動があり、見方が変わる。
こういうのができるのもインクルーシブデザインの力、というお話でした。

          ・・・・

デザイナーだけで思いつけないことをみんなの力で出す、素朴に感じる疑問、工夫を集めただけでもこれだけのものが出来るのだから、みなさんにもどんどんやっていただこう、ということで、インクルーシブデザインワークショップをあちこちで行ってきていて、今回で記念すべき!60回だそうです。

小学校でのワークショップ、京都駅で待ち合わせをしてみるWSなど等、豊富な経験と事例をお話くださいました。


disable=障害のある人 と
disabled=障害をこうむっている人
という考え方の違いについて。

老眼になったからみえない・・・ではなく、最初から文字が大きければ見えて、境・不自由を感じずに済むはず。
高齢者とは何歳からか、線引きが出来ないように、障害者も線引きが出来ない。
ある行為ができなくなって不便を感じるようになることが「障害」なわけで、もともとが良いデザインだったら・・・

「できないこと」を個人の認知や身体のせいにするのではなく、理由をデザインに求めるのが「disabled」の考え方。
人の行動・行為はまわりの環境・デザインによって変わる。
だから、デザインをしっかり変えていくことが大事、とのお話でした。

よく尋ねられる、
ID(インクルーシブデザイン)
UD(ユニバーサルデザイン)と何がどうちがうのか?については。

UDでもIDでも、優秀な個人デザイナーが作ったものでも何でも、みんなが使いやすいものが出来るならば何でも良いと思う。

みんなが使いやすい
 =使ったときに境界線(排除の線)が見えない、感じない、
  そこから少しでも遠ざかっていること、
  一人でも多くの人が使いやすいもの、
そこを目指すことが大事。
パワーポイントの画面の写真。箇条書きで。ユニバーサルとインクルーシブは何が違う?みんなにつかいやすいデザイン=結果として誰もが使いにくい事がある。最適解が唯一つ存在するという思い込み=人の多様さは想像を絶する→個からはじまり、いつでも個に立ち戻る事ができるユニバーサルデザインといえる。
IDでは、リードユーザーという特定の一人から出発。
最初から多種多様な障害のある人に対応したものをつくろうと考えるのは大変。

利用するみんな、というのは、実は個人の集合体だから「みんなに向けて」のデザイン程、個人から出発するのが大事との考え。

これまでエクスクルード(排除)されてきたユーザーを実際に巻き込んでその個人と向き合う。
その先で、一人でも二人でも多くの人が使いやすいものを「ともに」考える。
そのデザインの方法・プロセスとしてIDがある。

その際「○○さんのために」という姿勢は「助ける人ー助けられる人」という構図を暗に仮定し、『他人事』で考えてしまうので、それよりも「○○さんとともに」という姿勢で、自分でもそれを使いたいと思うかどうか、を考えながら、具体的なモノを実際に作ってみるところまでワークショップでやってみる事が大事。

その過程自体も、必要な情報はきちんとグループ内で共有する(情報補償)、違う意見を尊重する、また、先入観を捨てて、目の前で見ているところでその人は何が出来て何が難しいのかを判断し、方法を一緒に見つけていくことで誰も排除しない=インクルーシブなものにすることが大事、とのお話でした。

2009年11月17日火曜日

第5回いっしょに楽習会

筑波技術大学春日祭へ行ってきました!

小雨模様の日でしたが、
東京から4名と地元つくばから3名の「美女軍団」(自称)と
美男子3名のみなさんが集まりました。

廊下で自己紹介中

鍼灸学科のある技術大らしくあんまを施術してくれる
『極楽堂』であんまを受けたり、学生さんたちの
屋台でおでんやビールを買ってステージを楽しみ、
学生さんたちともわいわい交流しました。

体育館のステージの前、テーブルを囲んでわいわい

交流企画ということで技術大産業情報学部の
手話ダンスサークルの学生さんたちの発表もありました。

学生3人、手話歌熱唱中

みえにくい学生さんたちの生活を補償する機器を
紹介する部屋を佐々木先生に案内いただきました。

単眼鏡を解説する佐々木先生

両キャンパスとつくば駅をむすぶ学園祭巡回バスには
行きも帰りもお世話になりました。

巡回バスの後姿

2009年10月26日月曜日

10/24広瀬浩二郎さんのワークショップ報告

10/24(土)、広瀬浩二郎さん

参考webサイト:
国立民族学博物館 研究スタッフ紹介 広瀬浩二郎
http://www.minpaku.ac.jp/staff/hirose/

のワークショップ
「さわる文化への招待」~暗闇でさまざまなモノを“みる”手学問のすゝめ~
を行いました。

目を「使えない」ではなく「使わない」を体験するための
アイマスク体験であること、はじめにお話がありました。

アイマスクをした参加者。隣同士で握手で挨拶
テーブルを囲んで、参加者の方たち、はじめ緊張気味でしたが
ワークショップがはじまり、アイマスクをして隣の人と挨拶
・・・声を掛け合ってようやく握手が出来ると自然と笑顔になり、
会場は笑い声でいっぱいになりました。

「考える、交わる、耕す」=「3こう」
   『さわる文化への招待――触覚でみる手学問のすすめ』(世界思想社)
   http://www.sekaishisosha.co.jp/cgi-bin/search.cgi?mode=display&code=1411
   に説明ありますのでご覧下さい

の3部構成でワークショップは進みました。

手にしたものを触察し、ことばで説明している参加者
参加者の感想

①ワークショップはいかがでしたか?
②得に印象に残ったことがあれば教えてください。

①面白かったです。ヘレンケラーのお話もよかったです。
触覚をもっとフルに磨きたいと思いました(^-^)ありがとうございます。
②みえない、でなく、みない、他の感覚を磨くためにみない・・・いろいろな、自分の欠点や他人のマイナスも、これからはそのように見ていけたら世の中がさらに楽しくなりそうですね、ありがとうございます。
(40代女性 つくば市)

①とても楽しかったです。アイマスクをして実際に目を使わず体験してみると、普段いかに視覚に頼っているか、よく感じられました。
②国旗のカードが楽しかったです。時間があればもっといろいろな国のものを見てさわってみたかったです。
(30代女性 牛久市)

①日ごろ使っていない感覚を刺激するのは楽しいことでした。時々そういう体験をすると感覚が鈍らなくて良いかと思います。
②国旗を手で触ることがほとんどないので新鮮な体験でした。
(30代女性 つくば市)

①アイマスクをしたっとたんに何か話をしていないと不安になる気がしました。日ごろ見ていることだけでコミュニケーションをしている、つもりになっている、のだと感じました。「見ない」ことが「面白い」ことだと知りました。
②点字を読んで「触覚を耕す」という経験。駅などの点字が「よく触るだけでわかるものだ」と思っていたが、訓練がやはり必要なのだと知りました。いつも使わない脳みその部分、いつも使わない腕の筋肉を使ったように思います。
(40代男性 埼玉県富士見市)


①目で見るものと手で触れて感じるものの違いがすごく大きいと思った。
視覚を封じてしまうと他のところ(感覚)が研ぎ澄まされると思った。
②ハタを触ったり、点字に触れたこと。さわってみるのとアイマスクをとってみたのでは大きな違いだった。点字は大きく打ってあるのにアイマスクをしているときは小さく感じた。
(30代女性 我孫子市)

①普段使わない触角を活用していろいろ考えるということは、日常生活では機会がないので新鮮な経験でした。逆に言えば、いかに視覚に頼っているかとのことで、他の五感を生かしてみたいと思います。触覚・聴覚をもっと使えるようになりたいです。どうもありがとうございました。
②民族楽器やおもちゃを想像したのが面白かったです。ネタが世界各国のものだったのがよかったです。
(40代女性 つくば市)

①非常に面白かった。日々の感覚ではない感じを覚えて、ためになった。
②点字の体験。1時間アイマスク。
(30代男性 東京都北区)

2009年10月7日水曜日

10/3タッチ&ヒアリングワールドワークショップ報告

10/3 タッチ&ヒアリングワールドを行いました。

1グループ目は小学4年生と6年生と目の不自由な方も一緒の6名、
2グループ目は小学6年生、大学生から大人の方まで6名。

ナビゲーターの佐々木先生と、もう一人。
筑波技術大学鍼灸の高橋ともやさんが、ギターと
点字タイプライターを携えて参加。

  「このワークショップで『障害を理解する』というより
   その先の理解を、実感を伴って、してほしい」

とのお話からワークショップ開始です。

会場の様子

アイマスクをして1分沈黙。
外の雨の音、室内の音・・・さっきまで感じていたのとは
違うということを実感します。


先ほど高橋さんが打った点字が渡されました。

アイマスクをしてテーブルをかこむ参加者
  「ひとつの点、それが あ です。
  6つの点がわかりますか?それが め です」

ふたつの違いが大きいため、点字にはじめて触った人も
違いを感じることができました。

  「もし今、墨字(紙に書いた文字)の資料を渡されたらどうですか?」

・・・当然、読めません。
点字なら、目を使わなくても読めます。

墨字も点字も、文字を読むという目的は同じ。
その人にあった、ふさわしい方法を選んでいるだけ。

その人にあった用意がなされていない、ということが
その人の「障害」になっている、ということがわかりました。


呼び鈴のほうへアイマスクをして歩く
声による呼びかけ、呼び鈴の音の方向へ歩いてみます。
みなさん無事音源のところへ行く事ができました。

マイクロ波治療器のところで止まる参加者の女性
机をたどって歩き、あたたかさを感じたら止まります。
マイクロ波治療器のところにくるとみなさん止まりました。

目で見るかわりに、音やあたたかさ、机をたどるという目印
(ランドマーク)で移動できることがわかります。

白杖で歩く参加者の女性
白杖(はくじょう)で床のテープに触れながら歩くとより安心して
進むことができました。白杖は、人差し指の延長線で、まわりの環境を
「さわって見ている」ものなのだそうです。

香りのする植物が配られ、香りを味わい、それが何なのか、
みんなで考えたりもしました。


  「目を閉じてアイマスクをとって、ゆっくり目を開けて・・・」

  「・・・まぶしい!」

これが『目が不自由』という一つの現象「しゅう明」。
日常的にこのように感じる人は、いつもサングラスをかけているそうです。

白濁ファイルを通して色紙を見る参加者

アイマスクのない状態で、佐々木先生作成のシュミレーターで
盲点が誰にでもあること、盲点は黒い点があるわけではないこと、
確認しました。

ある色紙を注視した後、白い紙に色がみえてしまうのを体験。
実際には、ないはずの色が見える!?
視覚は脳が作り出す相対的なものであることを実感しました。


  「紫外線は、昆虫は見る事ができるけれど、ヒトには、
   目の見える人も、見えない人も、見ることができない。
   みえないけれども存在は、していて、
   それを温度として・・・視覚では、なく、別の方法で
   感じ取ることは、できる。
   見えているものがすべて、では、ない。」
 
ヒトの体を診る『鍼灸』の昔からの用語「本」と「標」を引用し、
 
 「目に見えているものだけがすべてと思い判断していると、
 その人そのもの、本質をみていないことがある。
  目に見えているものがすべてではないということの自覚が大切」

とお話くださいました。

     自分ってどんななのか?人間って何なのか?
   
       自分理解、人間理解。
 
    「障害理解」を越えて導かれたのはそんな所でした。

 終了後、感想のかわりに詩を作る課題がだされました。
 ギターの名手、高橋さんが即興で歌をつけてくれるのです!
 けれどなかなか難しい(>_<)
 
ギターを弾く高橋さん

小4生が書いてくれた「ぜんぶ楽しかった」の一文に
曲をつけてくれたのを披露すると・・・
すごい、ちゃんとした素敵な歌になってる!
 
2回目のグループの「やっぱりワークショップは、大切」の
一文にも曲をつけてくれました。
そのままCM曲として使えそうです!

1グループ目終了後。 

点字絵本を高橋さんに読んでもらう女の子
参加してくれた小4のYちゃん。
点字絵本を高橋さんに読んでもらいました。
「何で読めるの・・・?」
興味津々で覗き込んでいました。

UDオセロで対戦!
そのまま二人でUDオセロで対戦が始まりました。
高橋さんは手で配置を確認しながら
ゲームを進めていました。

感想

土浦市 小学6年生 男子

アイマスクをつけてみると、雨の音がよく聞こえた。
人が近くにきたり、遠ざかったりするのも音で分かった。
違う感覚がぐんと成長した気がした。


つくば市 20代 女性
「視覚障害者」や「聴覚障害者」というけれども、いわゆる『健常者』との
違いは、普段どの感覚を主に使っているかという違いなんだ、という
考え方は、大変分かりやすかったです。
とても勉強になりました。ありがとうございました。


つくば市 30代 男性
みえることで みえないものがある
みえないことで みえるものがある
きこえることで きこえないものがある
きこえないことで きこえるものがある

気づくことで 見えてくる
感じることで 聴こえてくる
変わる事で 開けてくる世界

2009年9月25日金曜日

090920 田嵜裕季子さんの展覧会へ行こう!

13:45に市民大学キャンパスに集合。
車椅子ユーザーお二人、ろう者一人と4人の計7人。
自己紹介後、つくば美術館へ向かいました。

会場は3つのエリアに分けられ・・・


部屋中央のテレビで 田嵜さんの作品を見る。壁には立体コピー


第1は、田嵜さんの映像作品が流れるテレビが中央に一台、
それをかこむ3方の壁に、映像の一部を立体コピーで処理した立体写真が
ぐるっと一列で並べられているというスペース。
立体コピーでは、絵の解説をUDペンで聞くことが出来ました。

二つ目のエリアは、なんともいえない素敵な、植物たちの写真。
三つ目のエリアには、映像と音と、とある仕掛け(発見者はSさん!
教えてもらうまで私は分からなかったです)で、海岸に吹く風を
再現している不思議な空間。

田嵜さんに伺った展示の意図の通り・・・
第1で、ブラインドの方たちの、目以外のモノの感じ方を知り、
壁の立体コピーにふれて「さわって『見る』」を実感した後では、
植物の写真の中で吹く風や森の香りを感じたり、
潮騒と風の音を聞いて、でも実際には風をあまり感じない事が
とても不思議で・・・目で見る、だけでなく、全ての感覚を使って
そのモノを「見る」回路に自然に入っていたようです。
興味深い体験でした。

会場で手話で話をする参加者

会場では思い思いに作品を楽しみました。

9月5日にも参加くださった方が、時間をあわせて来場され
お声かけくださいました。


終了後、 田嵜さんを囲んでお話しました。

屋外のイステーブルで歓談する 田嵜さんと参加者

帰りも市民大学までみんなで歩きました。

なだらかそうに見えるスロープがかなり急であること。
平らそうに見えるブロックの道がでこぼこ・がたがたしていること。
歩道から車道へのスロープは、スロープにはなっているけれど
傾斜がきつくて車イスでは転倒する危険があること。

改修した新しい交差点の歩道の角にはほとんど段差が無く、
車イスも通りやすくなっている、でも蛍光ラインがあり
少し凹凸になっていて白杖ユーザーが気づきやすいように
なっていることなど、わかりました。

一緒に歩いてみてはじめて分かったことばかり。
ヒトって、自分の経験の範囲しか、なかなか想像できないものだと
改めて痛感しました。
が、だからこそいろんな立場の人同士の対話・交流が大事。


すばらしい展覧会の機会、また貴重なお時間とって
お話下さった 田嵜裕季子さんに感謝申し上げます。

2009年9月7日月曜日

090905 いっしょに楽習会 第1回

2009年4月に開校した
つくば市民大学
http://tsukuba-cu.net/index.html
との共催講座

バリアフリー・いっしょに楽習会
第1回 手と目で感じる立体模型~空間を味わい、形を造る~
手嶋吉法さん(産業技術総合研究所 デジタルものづくり研究センター)
を実施しました。

講座概要(つくば市民大学 共催講座案内)
http://tsukuba-cu.net/course_eventlist/2009/09/post-21.html

つくば近辺だけでなく、立川や新宿、遠くは、東大阪からの
ブラインドの方を含め、25名の参加がありました。
会場全体の様子手嶋さんが持ち込まれた立体模型は、
島状のテーブル3つそれぞれにいっぱい!
それは、それは、壮観でした。

パソコン要約筆記の協力は、
NPO法人PCY298(つくば)さん。
http://www.pcy298.com/
3人でパソコン入力。正面横の壁に文字が映し出される 手嶋さんの話をすばやく入力し、スクリーンに表示します。

クラインのつぼについて実演交えて説明する手嶋さん幾何学の話等少し難しいところもありましたが(>_<)、
できるだけ分かりやすくと心砕いてくださっての説明、
熱のこもった研究のお話に時間は、あっという間に過ぎていきました。 球の最大接触数問題を味わう模型をさわる参加者
休憩時間には、みなさん一斉に模型のテーブルへ。

テーブルに集まり模型を楽しむ参加者「この形は、きれいだね~」
「手触りがいいね~」
みんなでわいわい言いながら、手と目で模型を味わいました。

手嶋さんの解説で青く美しい惑星儀を味わうブラインドの方たち 正確なデータを元に作られた惑星儀。
色も、立体模型を作るのと同時に色づけされたものだそうです。
手嶋さんの解説を受けながら、手でじっくり楽しむブラインドの方たち。

質疑応答の時間は、時間が足りなくなるほど多くの質問がありました。

同じテーブルのブラインドの方に質問する参加者
参加者から講師の手嶋さんに、だけでなく、ブラインドの方の感想を聞きたいと
同じテーブルにいる方に質問したり、ブラインドの方の触覚利用について
他の方からアドバイスがあったり、参加者同士のやりとりもとても活発で
大変有意義な時間になりました。

参加者の感想より一部抜粋

・今日は、とても興味深いお話を聴くことができました。
 ありがとうございました。
 あのような模型は、触ったことがありません。
 ことばでは伝わりきれないものが、触ることでイメージが鮮やかになります。
 教材としてだけでなく、美術館や博物館にも設置してほしいです。
  (都内・女性・ブラインドの方)

・普段あまり接点のない分野の貴重なお話が聞けてよかったです。
 数学で立体が出来る、というこが新鮮に感じられた。
  (つくば市・女性)

・いろいろな模型をさわれて楽しかったです。
 「さわる」大切さを学びました。
  (つくば市・女性)

・質問コーナーで、”デコボコ”の強弱について、目の不自由な方の
 お話が聞けたことも印象深かったです。
  (市外県内・女性)

・(こんなすばらしい模型がたくさんある)産総研に住みたい!
  (東大阪市・男性・ブラインドの方)

090823 楽楽大学での車イス体験会

つくば市のNPO法人、スマイル・ステーション主催
8/21~23にデイズタウンで行われたイベント
「楽楽大学」の会場の一角をお借りし、
車イスユーザーのFさんとOさんの協力で車イス体験会を行いました。

お二人がこれまで使ってきた自走用の車イス計6台と、
つくば市社協から借りた、折りたたみ式の大人用1台と
子ども用3台を用意しました。

社協から借りてきたものは、車イスの空気圧が減っていましたが、
空気入れまで気が回らずに会場へ行きましたが、さすがのOさん、
そんなことだろうと、早速空気入れを出してきて貸してくれました。
車イスと空気入れは、切っても切れない大事な間柄と学びました。

一般の方数人のほか、スマイルステーションのスタッフの方や
授業の一環で参加した筑波学院大学の学生さんたちが体験。


車イスを用意する学生さんたち 学生さんたちの協力で準備中。

10×3メートルのスペースにコーンを立ててコースをつくって歩いてもらいました。
中には、店舗内を歩いた人もいました。

車イスに乗って同じ目線で話す ユーザーのOさんからいろいろ話を聞く参加者。

子ども用車イスですいすい こどもさんは、嬉しそうに乗っていました(^-^)

屋上駐車場の一角で体験 終了後、スマイルステーションの他のスタッフの方にも乗っていただきました。


仲良く話す車イスユーザーと学生さんすっかり車イスの乗り方も上手になり、仲良しになった学生さんたちは、
イベントが終わった後も、 名残惜しそうにおしゃべりしてから帰りました。

車イスに乗ってくださった方のご感想

・ 思ったよりも軽くて走りやすい
・ 車イスの方(Oさんのこと)がとても楽しそうでいいなぁと思った。
・ 通路にモノが多いと気づいた(邪魔で通れない)。
・ 一人で車椅子で移動していても、じろじろ見たりする人はいなかった。
  しょうがい者への意識が自然になってきているのは良い事。
・ エレベーターや入り口で、ドアを開けて待ってくれる人が意外と多かった。

体験会後、ユーザーのOさんから

   ひさしぶりに車椅子で遊びました。楽しかったぁ~!!
  学生さんやスタッフの方々限られた人数ではあったけど、
  一般の方も車イスを「見る.触る」だけでなく、
  「身体で感じる(一部やり過ぎもあったけど笑)」機会を作り、
  真直ぐに受け止めて頂いたことは、車イスユーザーとして
  本当に感謝しております。
  この様な機会がもっともっと多くなり、
  「可哀想」「大変そう」「自分は障害者じゃなくてよかった」から
  「カッコいいね」「おしゃれな車イスだね」
  「へぇ~!そんなことも出来るのかぁ~!!」
  に変わって行くことを願っております。

とコメントいただきました。

こちらこそ、車イスのこと教えてくださって
ありがとうございました! (^-^)

090712 学習会報告

時間 9:30~12:30
会場 筑波技術大学春日キャンパスミーティングルーム
筑波技術大保健科学部の学生さん6名ほか計19名が参加しました。

UDペン実演しながら説明する佐藤さんUDクリエイト
http://ud-cr.com/
佐藤さんからUD-Penについてお話いただきました。

佐藤さんから、本ご紹介

『五感の力でバリアをこえる』
成松一郎著 大日本図書
http://www.d-kobo.jp/10_37.html

第3章の広瀬浩二郎さんの活動を紹介する章で、
昨年、つくばで行われたワークショップの様子が説明されています。


『LLブックを届ける~やさしく読める本を知的障害・自閉症のある読者へ』
藤澤和子、服部敦司編著
http://www.d-kobo.jp/12_33.html

墨字本(普通の文字の印刷された本)では、読みにくい読者のために
どんな本が用意できるのか、外国の取り組みや、日本で導入をすすめる方たちの
活動がわかります。
肩を並べて話を聞く参加者のみなさん
ブラインドのTさんから「書類をスキャナで読むが、その後、たくさんの紙の
なかからその資料を探し出すのが大変。どれがどの資料なのかわからない」
とのお話。
続いて、参加者でわいわい、やり取りしながらお話進めました。

佐藤さんの開発動機・方針は、「安く、シンプルで誰にでも使いやすいものを。
ブラインドの方の『自分で出来る事』を増やしたい」とのことでした。

以下、UDペンの解説と実演の記録

鳥やカエルのイラストと、突起のついた音符記号音符をペンで
タッチすると鳴き声が聴こえる。(ペン後方から音が聞こえる)
ボリュームはダイヤル式で調節可能。

(鳥の図鑑のように)データを「聞くだけ」から、
「自分で入力できる」ペンへ進化=UDペン

データは4万ギガ。
電池は10秒の録音で6時間くらい可。

Q。一度の録音時間は?
A.制限なし。ボタンを押している間中、録音できる。

服への応用買った時に、色などの情報をタグにして付けることで
後から自分ひとりで服を選ぶことができる!
服につけられる洗濯できるタグも考え中。

いかに安く、簡単にでき、簡単に取り付けられるか。
フィルムでつくったボタンやダブルクリップ等の方法、
布に貼れる布シートも試したが印刷が消えていってしまうのが難点
・・・いろいろ試行錯誤されていた。

カレンダーにはって日ごとにボイスメモすることで手帳代わりにも使える。
ペンと、○○用シール、セットにして用意することも考えている。
8/1発売予定。

技術大、鍼灸の先生方との「経穴ペン」経穴を示した人体模型の経穴ごとにタグ、
その経穴の解説をUDペンで聞くことができる。

人体模型でなくても、経穴の名前タグにペンで触れると解説を聞くことができるので、
普段の部屋での勉強にもなると学生さんに大好評。
リクエストに応え「簡単な解説編」だけでなく「詳しい解説編」もつくった。


UD-Penについての感想

「資料整理に使えそうで期待大。借りて帰って使ってみる」

「技術からブラインドの方の生活がわかり興味深かった」

「今、佐藤さんが行っているユーザー側のニーズを集約していく、
というのはとても大事。経過、それからこれからも、ぜひ『記録』してニーズを集約し、
情報を共有化していけるといい」

「技術大の学園祭で、情報発信する場を企画したい」


学習会に参加した、技術大の学生さんの感想

「今まで、自分のブラインドの立場からしか見れていないことがわかった。
車イスユーザーの話や交通バリアフリーの話など実際聞いたのは初めて
だったのできけてよかった。これから多方面に見ていけたらと思う」

「いろんな方と話ができて楽しかった。いろんな人が居るので、
いろんな角度からモノを見る事ができてよい」

090620(土)マリーナ交流会

暑すぎず、風も吹いてマリンスポーツにぴったりな日。

土浦のラクスマリーナ
http://www.lacusmarina.com/

とびいり参加もあり、10人で楽しみました(^-^)

ユニバーサルデザインの、誰でもすぐ運転できるヨット
アクセスディンギーを、みんなで艤装(組み立てること)しました。


アクセスディンギーの横で説明を聞く参加者
交代で乗り込んで霞ヶ浦へ出発。
車イスからおりて乗船
OさんとOさん、快走中。
アクセスディンギー風を受けて颯爽と走る
カヌーは、まずパドルの使い方をレクチャー。
陸上でパドルを持って練習中
今日がカヌー2度目のTさん(ブラインドの方)。
パドルにさわって分かる印をつけ、前を漕ぐ人の声をヒントに
方向をきめ、力強くまっすぐ漕いで。
150メートル先の河口対岸まで漕ぎました。 幅広の安定性の高い一人乗りカヌーで力強く水面を進む
 
アクセスに乗ったOさん、次はカヌー。
車イスユーザーのOさんにとってカヌーはお手の物。
やはりカヌーは「水の上の車イス」
いや、実は、車イスが「陸の上のカヌー」!?
幅広の安定性の高い一人乗りカヌーに乗るOさん

釣竿用意していたのは学生のTさん。途中からブラインドのTさんがハマって熱中!

湖そばのイスで釣りに夢中のTさんをかこんで語らう

ゆっくりおしゃべりして霞ヶ浦の風を満喫しました!

参加者8人、笑顔で記念撮影